河野 優 石神井福音教会協力教師、前日本同盟基督教団法人事務主事

宗教法人におけるおもな非課税は、主にささげられた献金に対する法人税、教会用不動産の取得・所有にかかる登録免許税・不動産取得税・固定資産税(都市計画税を含む)などが挙げられる。法人税については収益事業などを行っておらず、収入が献金だけの場合は原則として手続きは不要であるが、教会不動産にかかる各種税金については、各々非課税のための手続きを要する。
私は宗教法人実務の働きに仕えるまで、このような非課税措置については関心も持ったことはなく、まったく知らなかった。地方税法第348条2項3号では「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地」には固定資産税を「課することができない」と規定されており、これを根拠として教会施設の固定資産税は非課税となっている。課税・非課税の判断は当該不動産が自らの宗教活動のために利用されているかどうかにある。そのため、教会堂や牧師館などの教会施設は宣教のために利用されているものとして、その固定資産税は原則として「当然に」非課税になるものと考えられる。しかしながら、現実には利用実態によって部分的に課税と判断される事態が生じていることに注意したい。
例えば、境内地に地域住民のための防災倉庫を設置したところ、それは「宗教法人本来の用に供している」とは言えないと判断され、設置部分の固定資産税が課税されるという事案が過去に起こった(現在では本来の用に供していると考えることが可能とされている)。近年、幾度となく災害に見舞われる中で災害対策への社会的な関心は高まり、さまざまな取り組みがなされている。防災倉庫の設置もそのひとつであろう。私たち教会でも災害支援や防災・減災について宣教的に捉え、考え、取り組んでいる。その一環として宣教的な動機から地域に仕え、防災や災害時の拠点となるべく防災倉庫を設置することは、果たして宗教活動とは呼べないものなのだろうか。

非課税には証しが必要

上記事案以外にも、社会貢献活動とか慈善活動などと呼ばれる、一般の団体も同様に行っている様々な活動がある。包括的宣教という言葉をよく耳にするが、教会の宣教は教会の中にとどまるものではなく、むしろ教会の隣近所に始まり、地域に、日本に、世界に広がっていくものである。聖書的価値観をもって、信仰をもって社会に仕え、福音を満たしていくことは間違いなく教会固有の働きである。
そのような教会の働きを、行政が「それは宗教活動ではない」と判断するのであれば、教会はその働きにおける考え方や目的を、信仰のことばで丁寧かつ大胆に説明し、行政を説得する必要がある。そもそも、宗教活動であるか否かの判断は行政ではなく宗教法人自らがなすべきもの、、、、、、、

2023年01月01・08日号掲載記事)