【連載】世の目人の目聖書の目ー世相を読む⑬ 変化が起こるときこそ、希望が必要
碓井 真史 新潟青陵大学大学院教授/心理学者
春は希望の季節。春は変化の季節だ。イースターも、イエスが死んで復活したことを祝う、変化と希望のイベントだ。研究によれば、幸福は特別な贅沢(ぜいたく)ではなく、安定した日常生活から生まれる。そして希望は変化から生まれてくる。
アニメ「サザエさん」の家族は、とても幸せだ。サザエさん一家は歳を取らない。子どもたちは反抗期にならず、家族の大病も認知症もない。グローバル化、IT化による仕事の激変も起きないし、街の再開発計画もない。幸せな日常が永遠に続いていく。
しかし現実は違う。カツオとワカメの兄姉も、いつか別々の部屋を求める。タラちゃんも大きくなる。祖父母との同居は、いつまで続けられるだろう。波平も定年を迎え、馴染(なじ)みの酒屋もコンビニに変わっていくかもしれない。変化はやってくるのだ。
心が行動を生むが、行動も心を生む
この春も、様々な変化があるだろう。慣れ親しんだ愛すべき学校、職場、街、そして教会から移動して、新しい場所に来た人も多いだろう。多くの喪失体験も起きる。収入を失う、健康を失う、家族や親友を失う、夢を失う人もいるだろう。あの幸せだった日々は、もう戻らないのだ。
けれども、変化が起こり幸福を失ったときこそ、希望が必要だ。希望学の研究によれば希望は、新しい大切な何かを見つけ、その目標に近づく方法を知り、みんなと共に一歩を踏み出す時に、生まれてくる。
仕事が命の人、スポーツに青春をかける人、愛する人のために人生を捧げる人もいる。しかしどんなに大切なものでも失うことはある。落ち込み、幸福感を無くすのも当然だ。しかしそれでも、私たちは新しい目標を見つける。そしてただ心で思うだけではなく、具体的な一歩を踏み出す。行動に移すのだ。一人でつらいときには、共に歩んでくれる人がいれば心強い。こうして希望は生まれる。
心が行動を生むが、行動も心を生む。聖書の教えは、信仰義認であり、心を重んじる。だが同時に、口で告白することも大切とされ、私たちの心をご存知のはずの神は、しばしば私たちに行動を求める。一信徒としては理解が難しいところもあるのだが、心理学的には心と行動は一体だ。
人は、自分の心がわからないこともある。自分の行動を自覚することで心を知ることもある。やる気が出れば積極的に行動できるが、まず行動してみることでやる気がわくこともある、、、、、、、
(2023年04月09日号 03面掲載記事)
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