【ペンテコステ特集】日本各地に〝平安の子〟が 寄稿・播義也
播義也=アジアンアクセスジャパンナショナルディレクター
教会未設置地で受洗者、教会形成も
東日本大震災で気付かされたこと、それは被災地の沿岸部の多くは未伝地だったことだった。同時に、被災地にたとえ小さくても教会が地域に存在している素晴らしさを痛感した。
震災支援ボランティアのために教会が動かされたのは、今まで全く関係のない東北に多くのクリスチャンが遣わされた、さながらサマリヤへの宣教のようだった。
個人的には、2008年からインドに十年以上毎年のように通う中で、未伝部族への宣教の鍵は、その部族の中から潜在的な働き人である〝平安の子〟を探し出すことだと学んだ。
その実際は、ルカ10章に倣って、収穫のための働き人を祈りながら遣わされ、平安を祈りながら家々を訪問し、祈った平安が留まる家で自分の証しを分かち合い、福音を分かち合ってイエス様を信じるように導く。後日その人が家族や親戚を招いてくれるところへ我々が訪問させていただき、その人の家が教会となっていくことを数多く体験した。
インドで体験した教会増殖をなんとか日本でも展開したいと、2018年8月に20日間、教会の若者と北東北と北海道の教会未設置市町村に平安の子を探す実験的な旅を行った。その旅で見せられたのは、教会がない市町村の霊的さみしさと、そこにも入り込んでいる他宗教の存在だった。
その後導かれて、2019年高知県日高村、山形県尾花沢市、2020年熊本県菊陽町、山都町、2022年奈良県黒滝村、三重県いなべ市、福島県西会津町、そして今年のゴールデンウィークには宮城県登米市の旧中田町と旧石越町に出て行った。
教会未設置市町村に教会が生み出されて行くために、既存教会のメンバーの中に知り合いや家族が核となって福音を生きる共同体を形成するのが確実だ。
しかし、そのような方がいない場合は、ルカ10章に倣って、私たちもペアとなって一軒一軒訪問しながら平安の子を探すことになる。訪問と聞くと怯(ひる)む方も多いかも知れない。しかしルカ10章に記されている通り、収穫のための働き人が取り出されるように祈り、平安があるように祈りながら一軒一軒訪問するときに、拒絶されても平安が戻ってくることを体験する。
そのようにして過去5年間ほど取り組む中で、多くの試行錯誤を繰り返しながら、出ていけば平安の子に出会えることを確信するようになった。
今までの平安の子探しの取り組みで、146人が参加してくださり、3千393軒の家を訪問し、平安を祈りご挨拶した。そのうち436軒の方に拒否をされたが190軒の方が私たちが祈る祈りを受け入れてくれた。さらに22人の方がイエス様を信じると共に祈り、41軒の方はまた来ても良いと言ってくださった。そして一人の方は後にバプテスマを受けて、今では自分が経営するお店で、〝店の教会〟を開拓している。
第七回日本伝道会議のプロジェクトとして、「カバレッジプロジェクト」を始める。これは、日本のどこに教会未設置市町村があって、どこの町がだれにもエンゲージされていないのかがオンラインマップで見えるようにするサイトのことで、日本の教会がどこへ出て行くべきかを可視化するものだ。
日本の三分の一の市町村には教会がない。その町々を、主は深い哀れみの心をもって、羊飼いがいない、弱り果てて倒れている群衆を見るように見ておられる。
私もイエスの弟子として、主が持っておられる失われた魂に対する深い哀れみの心を育てて頂きたいと切に願う。
今年もいくつか平安の子探しの計画がある。聖霊の促しを覚える方は、ぜひ一緒に宣教に出ていければ幸いに思う。
(次号でも「平安の子」を紹介=編集部)
(2023年05月28日号 05面掲載記事)
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