トルコ・シリア大地震から半年 WV警告「人々は飢餓のリスクにさらされている」
8月6日でトルコ・シリア大地震から半年を迎える中、国際NGOワールド・ビジョン(WV)は、シリア北西部の人道的状況はかつてないほど悪化していると警告する。
WVシリア対応プログラム責任者のヨハン・モイジ氏は「壊滅的な地震から半年が経過した今、シリアの人々は地震の影響だけでなく、長引く紛争、経済不況、コレラの流行、厳しい気候などの苦しみとも闘っている」と話す。
シリア北西部では、仮設住宅で暮らす家族数が増えていることが懸念され、地震で家を失った約26万 5,000人が適切な住居を必要としているが、さらに深刻化させているのが、夏の猛暑による相次ぐ火災だ。7月15日から17日までの3日間で40件以上の火災が発生。2023年だけで180件以上が発生し5人が死亡、220以上のテントが消失したという。
WVは、さらに食糧配布削減により、シリア北西部の状況はますます複雑化していると警告する。この決定で、約250万人が深刻な飢餓のリスクにさらされ、すでに深刻化している危機をさらに悪化させているという。食料不安は2015年と比べ50%以上の上昇を見せ、その影響は推定1,210万人ほど。栄養不良率は過去最悪を記録し、妊娠中および授乳中の母親の4人に1人が急性栄養不良状態、一部地域では子どもの4人に1人が発育不良に陥っているという。「2023年人道対応計画」は53億ドルの資金を必要とするが、7月21日現在での資金調達の進捗は13%に留まり、人道支援団体の間では懸念が高まっている。
WVは、2011年からシリア、ヨルダン、トルコ国内においてシリア対応プログラムを行い、難民・国内避難民と彼らを受け入れているコミュニティーの人々に、命を守るための保護、教育、水衛生、生計向上、保健などの支援を提供してきた。これまでにシリアおよびトルコで80万3,483人に支援を届け、うち19万583人が女児、17万6,053人が男児だ。モイジ氏は次のように話す。「厳しい状況に立ち向かう被災した人々のくじけない心、WVの現場スタッフやパートナー団体の根気強い支援は希望の光となっている。しかし、国際社会の支援と注目は依然、必要不可欠だ。震災から半年を迎え、WVは被災した人々に手を差し伸べ、復興と回復を支援するよう個人、企業、政府、国際機関に呼びかける」