修学院フォーラム「エネルギーを考える」第11回④ 巨大化する再エネ事業 「共に知る=良心」必要
牛山氏
日本の風力発電を推進してきた、牛山泉氏(足利大学理事・名誉教授、1面参照)は「巨大化する洋上風力発電導入には、専門家、国民、政治家の間の公平性・透明性ある情報公開が必要。『良心』(コンスキエンティア)とは『共に知る』ことだ」と強調した。
「原発回帰か再生エネルギー活用か 私たちはどんな世界を目指すのか?」をテーマにした、2023年度修学院フォーラム「エネルギーを考える」第11回(日本クリスチャン・アカデミー 関西セミナーハウス活動センター主催、7月)を紹介する第四回。2日目後半は牛山氏が講演した。
前回まで
☆①「原子力」に対抗できる〝力〟とは 福嶋揚氏 2023年09月17日号
☆②「言葉が奪われている」 片岡輝美氏 2023年09月24日号
☆③ 「剣を鋤に」営農型太陽光発電の実践 近藤恵氏 2023年10月08日号
22年末までで、世界の風力発電風車は30万台あり、発電量は9億600万キロワット。日本の全発電設備容量の3倍、世界の発電量の約10%に当たる。21年から35年までに世界の洋上風力は10倍となると予測されている。
牛山氏は、50年までのカーボンニュートラル実現目標、経済、安全保障面などから日本の「洋上風力産業拡大は急務」と強調。日本の産業について「自動車などの国際分業によって各国が共に利益を享受する体制をつくり、平和に貢献してきた」と評価する。
一方で近年は企業における品質不正、データ改ざん、虚偽報告などが頻発しており、倫理観や道義心をもつ人材育成の必要性を指摘した。「人は必ず間違えるという〝罪の意識〟の前提が重要。『人が見ていなければ何をしてもいい』のではない。いつも神が見ておられるという視点に立ち返らないといけない。かつて日本人にはそのような道義心があり、それが日本の誇りでもあったはずだ。単なるビジネスでなく、日本、人類を救うためにやってほしい」
フォーラム企画には、木村護郎クリストフ氏(上智大学外国語学部ドイツ語科教授)がかかわった。フォーラム内で木村氏のゼミの学生が日独の環境意識を比較し発表。「拡大生産者責任」「カーボンオフセット」という概念や制度、自然観、自転車交通、SNS文化などの視点で分析・提言があった。
フォーラム直後には、東京電力福島第一原発の「処理水」が放出され、、、、、、
(2023年10月29日号 02面掲載記事)