第四回ローザンヌ世界宣教会議(9月22~28日韓国仁川、オンライン)に向けて、毎週配信中の「ローザンヌ運動ポッドキャスト」(URLlausanne.org/podcast-series/lausanne-movement)から主要な論点を紹介する。

 

前回

第四回ローザンヌ世界宣教会議への旅① 神が用いる人と出会う

 

福音派の新鮮な息吹だった

 

第二回(2023年10月配信)後半は、第三回ローザンヌ世界宣教会議(2010年)でプログラム局長を務めたラメズ・アタラさん。第一回の世界宣教会議(1974年)時は苦学生だった。福音派とカトリックに関するテーマのセミナーを担当することで参加がかなった。その後、ローザンヌの青年代表となった。

「伝道と社会的責任ということについてラテンアメリカ、第三世界の代表者が、非常に強い言葉で語った。ローザンヌ運動は世界中の若い福音派にとって新鮮な息吹だった」と振り返る。参加者同士の刺激も回顧し、「若者は年長者に学んでほしい。年長者は若者と冒険してほしい」と。

第三回世界宣教会議では、会議の構成に労力を費やした。聖書講解ではエペソ人への手紙を読み通したり、世界宣教の主要トピックを絞り込んだ経験を語った。議論を促すテーブルグループの工夫も振り返った。

「福音派が誠実さにおいて失敗した」面にも言及。「数字上の成功ではなく、私たちの目標は従順であること。1対1で人に投資するのです」
第三回配信(23年10月)は、ローザンヌ神学作業部会の前代表のクリストファー・J・H・ライトさんと現共同代表のアイヴァー・プーバランさん。

ライトさんは、過去三つの声明を振り返った。「ローザンヌ誓約」については「福音と社会的責任」が提示され、「マニラ宣言」は「福音と社会的責任との間の本質的なつながりを再確認した」と述べた。

自身が携わった第三回ローザンヌ世界宣教会議(2010年)の「ケープタウン決意表明」作成段階では、「大勢の神学者たちと議論したが、どこにも到達できなかった」と苦悩した。しかし「愛」の観点ですべてを記述することが突破口になった。

この声明でこだわったのは、天地創造から新たな創造に至るまでの新旧約聖書の物語全体をとらえたこと。福音には個人、社会、被造物の三領域があり、「福音は被造物全体にとって良い知らせ」だと強調した。「伝道と社会活動のどちらが重要かと言われるが、それは息をすることと水を飲むことのどちらがより重要かと言うのと同じ」とも述べた。

第四回に向けては「優れた実践を共有し、世界中でお互いの意見を聞くこと」を勧めた。
スリランカのプーバランさんは、同じく神学作業部会共同代表で、ジンバブエのビクター・ナカさんとともに第四回の世界宣教会議で出される「ソウル宣言」に取り組んでいる。

「ソウル宣言」では、過去の三つの声明に基づきつつ、「教会が直面している非常に重要な倫理的課題」にも取り組み、釈義、人間論、弟子訓練と霊性、AIとテクノロジーといった主要な神学的ギャップを特定した。

この中で釈義については、「初期のローザンヌ運動では、聖書の霊感と権威を主張しなければならなかった。今日の課題はこの権威ある文書の解釈をどのように検証するかだ」と述べた。

「アジア、アフリカ、南米などで教会が驚異的に成長している。だが最初の数世紀と同様に、誤った教えに対して非常にぜい弱。信仰を宣言するのと同じくらい、信仰を守る方法についての話し合いが行われることを期待する」と語った。【高橋良知】

2024年07月07日号 07面掲載記事)