第四回ローザンヌ世界宣教会議(9月22~28日、韓国仁川、オンライン)に向けて、毎週配信中の「ローザンヌ運動ポッドキャスト」(URLlausanne.org/podcast-series/lausanne-movement)から主要な論点を紹介してきた。多くの配信の中から、最終回は、ローザンヌ運動50年の証言と、今回会議の論点について。

 

前回

文脈を無視しない 新しい曲線を描くには 第四回ローザンヌ世界宣教会議への旅⑫

 

第44回は、ローザンヌ運動の第一回の会議から50年となる7月16日に配信。当時プログラム委員長を務めたレイトン・フォードさんが語った。ローザンヌ運動の創始者であり、世界中でクルセード伝道をしてきたビリー・グラハムが、1960年代から各国の指導者を招く会合を各地で開いてきた経緯を説明。当時は「戦後、新しい教会や宣教団体が創設され、様々な宣教方法がなされた。しかしその担い手たちは互いを知らなかった。キリスト論と聖書の権威を巡る神学的危機、世界教会協議会で示された宣教の広い捉え方、ベトナム戦争や人種正義の闘争、貧困や飢餓への気づき、など様々な課題があった」とフォードさんは言う。

テーマや講演内容の吟味、ローザンヌ誓約の作成、聖霊の導きに委ねる祈り会、南米やアジア系の存在感など、第一回会議の思い出も話した。継続委員会の代表も務め、論争などの苦労も明かした。「ローザンヌは傾聴運動。神の声、世界中の人々の叫びに耳を傾ける。ローザンヌの出版物は、単なる一人の人物の著作ではなく、やはり互いの話を聞いたものであり、聖書と文化を解釈したものだった」と述べた。

次世代育成のために、若手リーダー大会(YLG)も提唱した。自分の息子を亡くしてからは、自身の働きを転換し、メンターとしての働きに尽力している。

第54回(9月配信)は、今回の会議のために、世界の宣教課題を聞き取った、グローバル・リスニング・チーム共同代表の高見澤栄子さん。同チームでは、2020年から、世界のリーダーたちに三段階にわたって、聞き取りを実施。その成果を段階ごとに、ローザンヌ運動臨時文書(URLlausanne.org/occasional
-papers)の71、72、73号として発表した。第一段階ではローザンヌ運動における世界12の地域、24の課題グループなどに聞き、第二段階では対象を絞り、第三段階では、さらに22人のリーダーに絞って聞き取った。

同チーム共同代表のムン・サムチョルさん(韓国)が、理論的手法とコンピューターアプリケーションによる言語分析を用い、最終的に七つの課題が示された。「いちばんの課題として、弟子としての訓練の必要性が挙げられた」と高見澤さんは言う。

七つの課題は、①弟子コミュニティーの構築、②リーダーシップ開発のための若者の指導、③世界伝道の残された課題の全体像の把握、④文脈化されたミニストリーのための文化的傾向の検討、⑤ミニストリーの取り組みの再調整のために多様な声への傾聴、⑥メンタルヘルスの問題に特に注意を払って苦しむ人々を介護する、⑦神の無条件の愛を物語る、だ。

⑥については、東日本大震災の経験にも触れた。「多くの団体が被災地を支援し、撤退したが、クリスチャンは残り続け、寄り添った」と紹介。「引きこもり」についても、「アジア各国で同様の問題がある」と述べた。まとめとして、臨時文書に掲載された家の図を紹介し、「弟子としての育成や指導、大きな構想が基礎となり、傾聴や思いやりが柱、神の無条件の愛を語ることが屋根となる」と勧めた。(終)【高橋良知】

 

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