「若者が教会にいない」
これは、日本の教会全体が抱えている課題だ。加えて現代は、中高生が最も教会から離れていく世代だとも言われている。
教会に若者がいても、ほとんど会話をしない…退屈そう…ずっとスマホをいじっている。逆に「イイ子」過ぎて…彼らの本音が見えづらい。
若者伝道の大切さは、頭ではわかっている。しかし、実際、彼らにどう関わっていけばよいのかがわからない…これが多くの教会の現状だろう。
しかし本書は、そんな私たちに対して希望を与えてくれる。本書を読み終えると「早くあの子たちに会いたい!」そんな気持ちにさせられる。
著者の川口さんは、現在hi-b.a.(高校生聖書伝道協会)スタッフをされている。高校生を中心に、これまで何百人もの若者と関わってこられた。この豊かな経験から川口さんが教えられてきたこと・ずっと大切にしてきたことが、本書では惜しみなく分かち合われている。どこまでも若者の側に立ち続ける川口さんの言葉からは、若者の本音が見えてくる。そして確実に若者への理解の扉が開かれる。そして若者たちと関わるのが楽しみになってくる。
私は、現在KGK(キリスト者学生会)スタッフとして学生伝道の働きに携わっているが、私自身もまた本書から教えられた。高校生が直面している「セルフイメージの低さ」「人間関係の希薄」「SNS疲れ」「親子関係の悩み」は、学生にもそのまま当てはまる。しかし、川口さんはこの難しい課題を抱える若者を決してあきらめない。どこまでも御言葉の真理に立って彼らと向き合うことを選ぶ。私は、川口さんの姿勢から「自分は、出会う学生たちをどれほど愛してきただろうか…」と問わずにはいられなかった。
本書は、若者を集めるノウハウが書かれている単純な本ではない。神様が出会わせて下さった一人一人と向き合い、愛することへと私たちの背中を優しく押し出してくれる書物だ。そういう意味では、たとえ教会に若者がいなくても、すべての教会で読まれるべき書物であると、私は思う。
(評・松尾献=キリスト者学生会九州地区主事)

『中高生に信仰を伝えるために』
川口竜太郎著、いのちのことば社
 1,100円税込、B6判

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