第七回日本伝道会議(JCE7)は継続的な取り組みをするプロジェクトを進めている。各担当者らに展望を聞く。【高橋良知】

 

「関係」の回復に焦点

ファミリーミニストリー・サミット 西岡まり子さん

プロジェクト名は「ファミリー・ミニストリー~家庭における神のかたちの回復と育成~」。代表の西岡まり子さんは「愛は、関係の中で育まれもし、損なわれもする。今多くの家庭における様々な関係が歪みや痛みを抱えている」と語る。

「『神のかたちとして…男と女に彼らを創造された』とあるように神のかたちは関係性を含めて捉える必要がある。しかし、神のかたちは罪の自己中心性により、関係性が蝕まれ、その中で心身にダメージを受ける。回復のためには、その関係性に専門的知見をもって取り組まれてきた方々との協力が不可欠となります」。このような問題意識で、家族の回復に取り組む様々な団体とともに、2021年から同サミットを構築し、ホームページでも発信してきた。

「宣教は、福音を生きることで、証人としての生活は今まで身に付けた言動の再考が求められている。すべての人が、罪人であり、回復の途上。『隣人を支えたい』と考える側も、外へ向かう前に、まず自らの痛みを知る時、それを癒やす福音の祝福に気づきます」

「依存症など、個人と取り組むだけでは解決できない問題がある。家族、教会、地域社会が協力して対応しないといけない。教会という神の家族が世界で果たす役割は大きい。赦し、和解、愛する、ということは、家族から始まって、地域社会、世界に広がるものだと思う」と述べた。

JCE7については、「お互いの視点を吟味して、交わることで統合的な福音の理解が深まる。そして、その理解を様々な働きによって具体化できると思う」と期待する。

 

蓄積と発展をめざす

平和研究会 児玉智継さん

プロジェクト名は「平和研究会情報開示プロジェクト」。前回第6回日本伝道会議(JCE6)の「教会と『国家』」プロジェクトを継承し、今回「平和研究会」を立ち上げ、ホームページ(HP)で、従来の取り組みの蓄積と発展をめざす。代表の児玉智継さんは、「幅広く、教職だけではなく信徒からも論考を集めたい。これから用意する趣意書に賛同される方は、ぜひ会員になってほしい」と勧める。

HPは9月のJCE7本大会で公開し、ネットワークを広げ、寄稿を依頼していく。2、3か月に1本の論文を掲載し、プロジェクト期限の3年間で12~18本となることを見込む。「HPを閲覧して終わりではなく、講演会なども開き、直接皆さんと具体的な議論をする機会ももちたい」とも語った。

JCE6のプロジェクトは日本福音同盟(JEA)社会委員会が担当し、「み言葉に基づくキリスト教平和論を模索」し、「各地に社会委員会が立ち上がるための一助となり、将来の福音宣教の土台を築く」ことに取り組んだ。「同委員会が発行した報告書は様々なグループの読書会や勉強会などで用いられてきた」と言う。

今回のHP設立のヒントになったのは、東京工業大学・未来の人類研究センターの「利他プロジェクト」のウェブサイトだった。「20年にJEA社会委員会の信教の自由セミナーで、コロナ禍の社会と教会を問うテーマの講演を準備した。コロナ禍で注目された利他的行動を考察する中で、『利他プロジェクト』を知った。様々な論考が読めるサイトが参考になりました」

JCE7については、「様々な考えに触れる出会いの場として、期待している」と述べた。
(つづく)

2023年08月06日号 05面掲載記事)

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