政府は世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の解散命令を東京地裁に請求する方針を固めた。旧統一協会の宗教法人に対する解散命令で、数々の問題は解決するだろうか。8月に『世界平和統一家庭連合・旧統一協会は何を教えているのか 統一原理による支配』(いのちのことば社)を出版したマインド・コントロール研究所所長、パスカル・ズィヴィー氏は「『統一原理』は解散しない。根本的な解決はされない」と警鐘を鳴らす。

以下、パスカル氏の寄稿。

「過去を思い出せない者は、それを繰り返す運命にある」ジョージ・サンタヤーナ氏(哲学者・詩人)

オウム真理教は1996年に宗教法人としての法人格を失ったが活動を継続した。2000年には破産に伴いオウム真理教という名称は消滅した。しかし、破産とほぼ同時に、新たな宗教団体アレフが設立された。アレフのメンバーたちは何を信じているのだろうか?

「麻原彰晃(教祖)は偉大なる先生(尊師)である」「彼の教えが真理だ」「松本サリン、地下鉄サリンなどの事件はでっちあげだ」・・・。彼らは現実を見ることを拒否する。

入信してから、家族と関係が悪くなったケースが多い。両親がこれを証言している。これらの事実を見ると、アレフとオウムの違いは何だろうか? 違いはない。なぜなら、教えは同じだから。名前を変えても、教えが同じであれば何も変えることはできない。根本的な問題はここにある。

世界平和統一家庭連合の教えは「統一原理」である。メンバーたちは、その教えを信じているので、正体を隠した勧誘や物売り、霊感商法などを行う。彼らは反社会行為を行っても、自分たちが正しいと思っている。現実を見ることを拒否する。なぜなら、「統一原理」を信じているから。

組織としての世界平和統一家庭連合が解散しても、「統一原理」は解散しない。残る! 彼らを動かしている本質が残るので、根本的な問題は解決することができない。「統一原理」はすべてのメンバーたちの考え方と生き方を強烈な力で支配しているのだ。彼らが「統一原理」の枠の中で生きているかぎり問題は続くだろう。

世界平和統一家庭連合は、オウム真理教のように名前が変わっても、また同じシナリオが始まる。この厳しい現実を受け入れることが重要であると思う。絶対に油断しない必要がある。目を離すことができない。

残念なことに、人々は何が起こったのかすぐに忘れてしまうので、情報を伝え続けることが大切だ。問題は終わっていないことを理解してもらうために。いつまで情報を伝え続けることが必要だろうか。ずっとだと思う。なぜか? 「統一原理」は解散できないから。オウム真理教の教えも同様だ。本当の危険はそこにある。

 

『世界平和統一家庭連合・旧統一協会は何を教えているのか 統一原理による支配』(いのちのことば社)

 

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