【関西だより】《西の窓から》第1回 小平牧生
日本各地、様々な特色ある宣教が実践されているが、その大きな方針は、教団教派や団体の本部が集まる東京でなされがちだ。日本各地域の中で、関西は、一つの大きなまとまりとして、様々な交流や取り組みが盛んになされている。この関西においては、東京圏とはひと味ちがった宣教ビジョン、景色が見えてくるだろう。関西地域で宣教、牧会に励む人々に、関西の日常、具体的取り組み、教会の姿、宣教のビジョンなどをエッセイやオピニオンの形で語ってもらう。
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「関西」で教会形成に取り組んで38年になる。この間、日本福音同盟理事会や神戸、岐阜の二回の日本伝道会議実行委員会に加えられて、楽しみながら「東京詣で」を行ってきた。
日本福音同盟理事会で日本伝道会議の担当理事になった時に、過去の宣言文を読み返してみた。
第一回日本伝道会議の「京都宣言」には次のように宣言されている。「私たち聖書信仰に立つ者は、福音を全世界に伝えるべき大使命に対して忠実でなかったことを認めざるをえない」(前文)。そして「聖書信仰に立つ私たちは、教会の使命を遂行するため、全き献身と御霊による一致・協力が求められていることを告白し、宣言する」(四項)。ところが最後は次のように記されている。「具体的協力については、今後、日本福音同盟において、さらに探求する」(五項)。
そして、次の第二回会議の「京都宣言」には次のようにある。「私たちは…みことばに基づいた教会の可視的一致が、神のみこころであることを確認する。…普遍的公同教会の一員として自覚に立ち、まだ主の救いにあずかっていない、わが国99%以上の人々への宣教のために協力しなければならない。そのためには、聖書信仰を基盤とし、諸教会間の協力とともに、超教派の伝道団体、神学校など、あらゆる団体との積極的な協力が必要である」(五項)。しかし最後は同じように「具体的協力のあり方については、今後、日本福音同盟において、さらに探求し神の栄光の現わされる働きを遂行することを決意する」(結び)で閉じられる。
「やらなければならないのだ」と言葉を尽くして語られる。でも最後のオチは、二回とも同じ。「具体的なことはあとで考えよう」。それでも各教団を中心にやれている時代だったのだろう。しかし私たちがこの世界と日本の全体を視野において福音宣教を進めるためには、本気でそれをしようと思うならだが、教団・教派の枠組みと、地域の枠組みを軸にした戦略を立て、それに基づく具体的な働きを進める必要があるのではないか。特に、教団・教派を軸にした宣教協力の働きを、各地域・各地方における教会の働きに具体的に活かしていかなければならない。地域・地方に目を向けていく。そのことを願いつつ神戸の会議では「アナロギア」に、そして今回の岐阜の会議では地区大会に取り組んできた。
加えてどうだろう。たとえば日本福音同盟の場合、現在は教団・教派単位である会員や理事枠に、各地域・地方の代表者を加えてみる。教団・教派という縦軸に地域・地方の横軸を加えることによって、中心を分散させてネットワークを機能させることができるのではないだろうか。あるいは思い切って、日本福音同盟の事務所を他の地域に移転してもいいのではないか。東海はもちろん関西も良いかもしれない。関西はかつて、ラーメンをインスタントにし、寿司を回転させ、歩道を動くものとした経験がある。従来のあたりまえとなっていることを疑ってかかることからはじめる関西。ええんとちゃう? しらんけど。
(兄弟団・ニューコミュニティ牧師)
(2023年09月03日号 06面掲載記事)
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