「汚染水」放出 原発に危機感 宣教の祈り課題 住吉氏
政府は、東京電力福島第一原発にたまる放射性物質を含んだ「処理水」を、24日に放出することを、22日関係閣僚会議で決めた。漁業関係者の反対、各種世論調査で表れる国民の懸念もある中での決定となった。
福島県沿岸で、支援と宣教の活動を続ける住吉英治さん(同盟基督・勿来キリスト福音教会、双葉希望キリスト教会牧師)は「まずは関心を持ち続けてほしい。『汚染水』放出の問題のみならず、原発事故が再び起こる危機感を持ちたい。移住者の苦悩に寄り添う宣教課題がある」と言う。
以下は祈祷課題と住吉氏のコメント。
1 福島の原発事故とその後のことについて関心を持ち続けてほしい
2 全国54基の原発で、事故が起こりうる前提で考え、行動してほしい
「原発に近い、遠いにかかわらず、事故が起きる前に、起こさないために何をすべきかを考えてほしい。福島での教訓がある。地域の人々の安全を守ることも教会にとって大事なことだと思う。そして起こったとき、どうすればいいのかも想定してほしい」
3 原発が攻撃されるリスクを考えてほしい
「ロシアはウクライナ侵攻で、核兵器の使用も言及している。核兵器がある以上、それが使われるリスクがある。実際に北朝鮮では核、ミサイルの開発が進む。日本の原発が攻撃されたら、日本は沈没してしまう」
4 福島第一原発原子炉土台の深刻な損傷がもたらす危機の回避のために
「原子炉を支える土台が大きく損傷していることが4月に分かった。大きな地震が起き、格納容器に穴があき、放射性物質が漏れる事故が起こる危険がある。これについて、政府や東電もなかなか手を付けられないでいる。これは喫緊の課題です」
5 「汚染水」問題のために
「漁業関係者が『容認した』というが、実際は反対している。放出しかないというが、別のタイプのタンクを利用したり、離島に運ぶなど、代替案はいくつも出されている。廃炉まで40年といっているが、どうなるか分からない。原子炉が損傷する危険もある。50年、60年続くかもしれない。ただ双葉郡の人たちにとっては、復興のため、『処理水を早く処分してほしい』という願いを持っている人々もいる。単純に賛成、反対の問題ではない」
6 「移住者」や福島の人々のために
「そもそも原発導入には、地域の産業不足、貧しさの問題があった。今も使用ずみ核燃料の処理施設誘致で、地方の様々な自治体が動いており、同様の問題がある。単に原発反対といっても、生活をどうするのかと言う問題が起こる。そのことで住民が分断される。人間は魂だけではなく、身体をもった存在。心だけではなく、生活も大事だ。双葉郡で双葉希望キリスト教会を開拓している。魂だけではなく、生業にもかかわっていきたい。原発で多くの人が避難し、寺社のコミュニティーが崩れた。先祖の墓、代々の土地を守れなかったという人々の痛みは深い。生きる希望を失い、自死する人、早死にする人の話も聞く。教会は地上のことだけではなく天国の希望をもっている。宗教観の差があり、並大抵のことではないが、教会がこのような地域でコミュニティーに貢献できるのではないか。このような地域だからこそ、教会が様々なチャレンジが出来ると希望を持っています」
7 エネルギー問題のために
「原発事故は、他の災害と違う様々な問題がある。核兵器や平和問題ともつながる。電力不足の不安で原発再稼働、増設が言われる。問題は人間の幸せとは何かではないか。経済成長が日々求められる。だが大切なことは、十戒にある『むさぼるな』ではないか。足るを知ることが、エネルギー問題で大切になります」
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