花嫁と十字架からクリスマスの壮大なストーリー描く 「服部州恵・小泉恵一 ふたつの表現展」12月9日まで 

ベールをもった女性は、決意に満ちている。鳩は、聖霊の象徴。女性と鳩の背後には、大輪の花々が描かれている。服部さんは「神様から与えられた良いものが開花したことを表わしている。花の周りには水の波紋が広がる。キリストの花嫁である教会、また一人ひとりのクリスチャンの生き方が広がることを表わします」と話した。

 

受胎告知をする御使いは、髪の毛や衣服など、全身が浮き上がる動のイメージ。対してマリアは椅子に座り、情熱を内に秘めながらも静かなイメージだ。御使いもマリアも両手を開くユダヤ式の祈りは共通している。彫刻が水盤の上に置かれていることも、服部さんの絵画の水のイメージとつながる。小泉さんは「ヨハネの手紙 第一5章には、御霊と水と血が証しすると書かれている。水は聖書において、聖霊と結びつく重要なイメージであり、実際に私たちの身体を生かす大切なもの」と説明した。展示室左手は、羊飼いの場面から、キリストの生涯と十字架までを描いた小泉さんの彫刻群、右手は花嫁やキリストの十字架をモチーフにした服部さんの絵画が並んだ。

 

左の作品では、羊飼いが女性で描写されている

特徴的なのは羊飼いの彫刻が女性として描かれていることだ。「服部さんと作品を発表する中で、聖書の中の女性に注目している。旧約のラケルは羊飼いだった。実はルカ2章の羊飼いは性別は記されていない。女性として描くこともできるのではないかと思いました」彫刻作品それぞれは、いくつかのパーツが組み合わされている。一つの作品では、ナルドの香油の場面と、イエスのエルサレム入城が組み合わされていた。「この組み合わせは、美術ではあまりなかったと思う。聖書は章節で区切られているが、一つ一つの場面はつながっている。旧約と新約の場面を彫刻でつなげることもできる。今後も聖書の全体像を彫刻で立体化していきたい」

 

イエス像も複数描いた

女性を描くことが多い服部さんだが、今回は花嫁の絵画とともに、イエス像の作品も複数展示した。「男性を描くことがあまりなく、モデルを探していたところ、今年初めに、この人だと思える青年と出会えた」と話す。十字架にかかるイエスの表情も祈りながら考えたという。「イエスは涙を描くべきかどうか。聖書には書かれていないので、どうしようかと思っていた。あるとき、背景に使っている金箔の小さな破片がイエスの目元に落ちた。イエスは人々の悲しみ、痛み、涙を理解されている。そのことを示されたと思い、涙を描いた」という制作のエピソードも明かした。

 

入口そばにある作品では、2人の日本の少女を描く。一人の少女はダビデの星のネックレスをして、ユダヤ人の象徴として描いた。エペソ2・14の「隔ての壁」を打ち壊すイメージが下敷きにあり、戦争が起きている聖地と日本をつなぎ、平和への祈りの思いを起こさせる。服部さんは「美術を通して、柔らかく、楽しく聖書のメッセージに触れてもらえる。この絵や彫刻がどのような意味があるのか、クリスチャンではない人も熱心に聞いていただける。ぜひお友達を誘って、『神様のくださる良いもの』を味わってほしい」と勧める。

ギャラリーカノン ウェブサイト https://gallerykanon.boo.jp/

 

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