「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた」 ヨハネ1章14節

 

2024年のキリスト教界のハイライトの一つは9月にソウル・仁川で第4回ローザンヌ国際宣教大会が開かれたことだろう。世界の200か国から、6千人の対面、オンライン2千人、ボランティア2千人、サテライト会場と、優に1万人を超えた大会だった。コロナ規制で長く世界が分断された後ということもあって、会場は様々な民族衣装に身を包んだ参加者が、出会いや再会を喜び、国境を超えてキリストを信じる者たちの繋がりとその規模を再確認する、祝宴の雰囲気の漂うものだった。マイケル・オー総裁の「共に!」という開会のメッセージにも、キリストにあって一致することの重要性が込められていた。

大会テーマは、「教会は共にキリストを伝え、示そう」で、一週間にわたるプログラムは、ローザンヌのDNAともいうべき包括的宣教が意識されていた。日毎の聖書講解は、使徒の働きを通して、聖霊の力、共同体のあり方、迫害や戦禍の中の教会、職場での証し、キリストの弟子の生き方などが語られた。迫害下で信仰を貫くキリスト者の証しは、感動を超えて、生き方を探られる内容だった。他にも世代間の問題、AIとデジタル世界との関わり、性の理解を含めた人間観といった、今日の教会が直面する重要な課題が取り上げられた。

5日目に開催国である韓国の歴史が紹介された。息を飲むほどの映像と音響を駆使し、朗読、ミュージカル、クワイアなど多彩な形式で展開されたその内容には、日本との関係も触れられていた。曖昧に両国の関係を認識していた参加者も、映像や具体的な数字を通して実情を知り、韓国のクリスチャンの痛みや感傷を感じ取った。その後に、長沢崇史氏(単立カナン・プレイズ・チャーチ主任牧師)が「その日、全世界が」の賛美を導き、最終日には、倉沢正則氏(日本ローザンヌ委員会委員長)が韓国のイ・ジェフン牧師(オンヌリ教会主任牧師)と共に聖餐式を導いたことは、キリスト者として和解は可能であると示す証しとなったのではないかと思う。主の計らいで著者も祝祷の役目を頂いた。

今日、クリスチャン人口は24億、世界人口の31%で、世界最大の宗教といわれる。しかし、それは、2千年前、赤子のイエス・キリストを宿したナザレの田舎町の乙女マリアの 「お言葉通り、この身になりますように」という信仰の従順から始まった。

月が満ちた時に与えられた場所は、羊や山羊が夜を過ごす動物小屋。この場に最初に礼拝に駆けつけたのは、人口登録もされず、神殿や会堂で礼拝の許されない羊飼いたちだった。天使の声に導かれ出かけると、まさしく動物小屋に生まれたばかりの赤子がいた。羊飼いすら出産はもっと衛生的な所でしたに違いない。しかし、もしイエス・キリストが宿屋でお生まれになっていたら、羊飼いたちはイエスキリストを礼拝できなかった。動物小屋だったからこそ彼らもメシアに会えたのだ。

イエス・キリストは地上生涯を通して、人が味わう様々な苦悩を味わってくださった。貧しさ、孤独、誤解、中傷、拒絶、仲間の裏切り、侮辱、嘲笑、えん罪による処刑、そして人類の罪を背負って十字架につき、父なる神からも見捨てられた。彼こそ私たちの病を負い、痛みを担ってくださったメシアである。実は、クリスマスの喜びとは、イエス・キリストの地上生涯の最後の十字架と、三日後の復活を知って初めてその真意が解るのである。

今、世界に1億6千万人の児童労働者がおり、戦禍や内乱、自然災害や病の苦しみの中で命を繋いでいる人がいる。信仰の故に迫害を受けている教会もある。イエス・キリストはこの傷んだ世界のどこにでもおられて、インマヌエルとして一人一人と共におられる救い主である。この主と共に歩む、来る2025年、闇を貫く希望の光を感じる。

 

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