能登半島周辺に11の所属教会がある聖書教会連盟では、会堂損傷や人的被害はなかったが、片付けや地域周辺の支援に携わっているところもある。内灘聖書教会(河北郡内灘町)には、全国の様々な教派の教会、救援団体も駆け付け、支援活動の拠点となった。1月11日現在、ハンガーゼロ、宣教団体OM、東海福音フェローシップ(TEF)、オペレーション・ブレッシング・ジャパン(OBJ)、石巻クリスチャンセンター(ICC)、九州キリスト災害支援センター(九キ災)のスタッフが現地で活動している。【高橋良知】

◆   ◆

門前聖書教会では宣教師夫妻が片付けに追われていた。写真提供=酒井

輪島市南部の門前町にある同連盟の門前聖書教会は、停電、断水、インターネット・携帯電話不通となったため、1月2日に、内灘聖書教会の酒井信也牧師が現地に安否確認のため訪問した。門前聖書教会の会堂は無事だったが、内部の家具などが散乱し、米国人のブルース・トラス宣教師夫妻は片付けに追われていた。

 

輪島市への道は寸断。写真提供=酒井

酒井牧師は「山側の道路が崩落し、寸断されていた。海岸沿いの岩盤がしっかりした道がようやく通れ、教会までたどり着いた。教会堂は無事だったものの、門前町周辺では全倒壊の家屋が見られ、亡くなった人もいる。中学校が避難場所となった。教会の斜め向かいの家が倒壊して、宣教師夫妻が親しくしている家族の一人が亡くなった。北側の輪島市街地への道は寸断されて行けなかったので、穴水町から七尾市を通って戻った。被災地どうしの通行ができない状況となっていた」と話す。

3日は朝から、内灘聖書教会のチームが門前聖書教会に、三重県在住の宣教団体OMの宣教師のチームが輪島聖書教会に、それぞれ物資をもって支援に出かけた。「三重のOMの宣教師は、かつて輪島聖書教会で奉仕しており、土地勘がある」と酒井牧師。

しかし、この日、輪島市街地については、道中渋滞のため、引き返した。門前聖書教会では、周辺の住宅の人々は避難所に移っており、避難所の役所、中学校に物資を届けた。また内灘聖書教会の教会員の家族が住む、能登町柳田も訪問。家族の家が拠点となり、近隣に物資配布をした。

4日早朝5時までの間に、さらに関西方面など各地から物資や救援チームが到着した。輪島市街地に向けて7台のトラック、自動車で支援に出発した。途中の公民館の避難所に約80人がいた。断水のため、九州から運んだ大量の水やパン・アキモトの缶詰が喜ばれた。七尾市では、断水、停電状態の高齢者施設を訪問した。

諸団体が協力して支援活動。写真提供=九キ災

5日夕方には、石川県放送伝道協力会の関係者が集い、災害支援ネットワーク(後に能登地震キリスト災害支援会[能登ヘルプ]と名称決定)を発足。キリスト全国災害ネットの情報共有会議も開かれた(2面参照)。
事務局の体制が整うまで物資・支援関連の情報発信(フェイスブックなど)を九キ災が担った。

九キ災は、内灘聖書教会のインターナショナルスクールで授業を実施したつながりがあり、震災直後に救援の依頼を受けた。2日の緊急理事会を受けて、3日から2人を派遣。4日早朝に内灘聖書教会に到着した。

7日に内灘聖書教会チームが能登町を再訪。避難所からお礼の電話がかるほど感謝された。物資配布の人手が必要との要請を受けた。

8日は雪に見舞われた。各地からの物資の仕分けをし、事前に各行政、避難所、施設などから要望を受け、不足している物資を運んだ。

9日は内灘聖書教会は能登町役場と六つの避難所に物資配布。信頼関係を築いている。OBJは依頼に応え、七尾市で高齢者施設にガソリンと発電機、住宅避難宅に物資を届けた。ハンガーゼロは物資を羽咋聖書教会へ配布。ICC・九キ災は能登町と珠洲市を訪問。珠洲市では市職員が疲弊していた。

今後は能登聖書教会のキャンプ場をボランティアベースとする可能性を模索している。ハンガーゼロ物資保管場所確保のための倉庫を手配し、内灘聖書教会の負担を軽減する。ボランティアの募集については体制が整い次第呼びかける。

市來雅伸九キ災本部長は「道路がダメージを受け、大渋滞の状況。余震も多く、明らかに熊本地震以上の被害。被災地で暮らせる状況ではなく、物資支援だけでなく、半島で被害を受けた人を移動させて二次避難所に避難させる動きになっている。片付けの支援についても、全壊が多く、取りかかるのはまだ難しいのではないか」と現状を話す。

祈りの課題として「地域教会の協力支援ネットワーク『能登ヘルプ』が立ち上がったが、どのような支援が出来るか、祈って知恵が与えられるように。被害を受けた方々にキリストの愛を届け、福音の種まきとなれるように」と話した。

支援物資送付の申し込みをGoogleフォーム(forms.gle/3zfKVgu5eK5NBTiH9)で受け付けている。能登ヘルプの体制が整うまで、九キ災が連絡や支援金受付を取り次ぐ。フェイスブックページ「九キ災」www.facebook.com/kumamotoshienまたは「能登ヘルプ」www.facebook.com/notohelpを参照。

 

こちらも読まれています

ハンガーゼロ 被災地輪島市に緊急支援物資届ける 

現地教会ネット 災害支援会「能登ヘルプ」設立 

全キ災「能登半島地震情報共有会議」開催 「秩序・継続・愛・協力」掲げ支援会立ち上げ 

「学校再開できない」「避難所で子どもが不安」 能登半島にスタッフ派遣 ワールド・ビジョン

能登半島地震 各団体が支援協力 輪島、能登、珠洲、羽咋などで展開

能登半島地震支援 JEA援助協力委 支援献金窓口開設 

クラッシュ・ジャパン 能登半島地震被災地七尾市を視察 

【写真】能登半島地震 輪島門前町の状況など 1月4日  

OBJ 能登半島地震緊急災害支援チーム 仙台オフィス出発 

能登半島地震 子ども支援へ ワールド・ビジョン 

輪島へ緊急支援へ 各地から救援チームとともに 能登半島地震(※15時一部更新 4日11時情報) 

輪島の被害甚大 七尾幼稚園避難受け入れ継続 断水も 日基教団 

九キ災「能登半島地震」現地支援開始 

輪島聖書教会、門前聖書教会周辺に物資支援へ 各救援団体も準備(午前10時30分情報) 

輪島、七尾の教会で被害 幼稚園が避難所に 能登半島地震  

「大丈夫」は本当?「関キ災第9回懇談会」で永井氏  

「神様は災害を災害で終わらせない」支援団体からフードバンクへ 町田防災フェスタ 

―――――――――――――――――――――――――□
【お知らせ】★週刊「クリスチャン新聞」がリニューアルしました!!★

☆新たな装い 今求められる情報を伝道牧会の最前線へ
☆紙面レイアウトを刷新 文字が大きく読みやすく
☆独自取材による特集企画で教会が今直面している重要テーマを深く掘り下げる特集企画
☆教会の現場の必要に応じた新連載が続々スタート

□―――――――――――――――――――――――――□

★「クリスチャン新聞WEB版 https://クリスチャン新聞.com/csdb/」(有料)では、
1967年創刊号からの週刊「クリスチャン新聞」を閲覧、全文検索(1998年以降)できます。